インフラ サービス(IaaS)とは、インターネット上で仮想コンピューティング リソースを提供するクラウド コンピューティング システムの1つです。IaaSは、ソフトウェア サービス(SaaS)、プラットフォーム サービス(PaaS)とともに、クラウド コンピューティング サービスの主要3カテゴリの1つです。
IaaSは、ニーズに応じて迅速にスケールアップやスケールダウンを行うため、物理サーバなどのデータセンター インフラを調達する必要がなくなります。また、リソースはそれぞれ個別のサービス コンポーネントとして提供されます。インフラはクラウド コンピューティング サービス プロバイダが管理しますが、アプリケーション、ミドルウェア、オペレーティング システムなどのソフトウェアのインストール、設定、管理はユーザが行います。
クラウド コンピューティングの主なメリットは、優れたコスト削減率、柔軟性、アクセス性です。サーバ、ソフトウェア、管理などのサービス プラットフォームは、プロバイダがコストを負担します。また、個々のニーズに応じて段階的に拡張できるよう柔軟な調整が可能です。サブスクリプションの購入者やユーザは、必要な機能に対して料金を支払い、利用するサービスを動的に調整できます。クラウド アプリケーションは、世界中どこからでも数時間、数日、数週間で導入できます。
IaaS固有のメリットには、以下のようなものがあります。
サービス レベル モデル(IaaS、PaaS、SaaS)のクラウド サービスには、パブリック クラウドとプライベート クラウドの2つの導入モデルがあります。
通常のパブリック クラウド モデルでは、データセンターにプールされた多数のクラウド サーバを使用して、お客様がサインアップしてアクセスできるインターネット経由のサービスを提供します。サーバなどの基盤インフラは、サービスのすべてのエンド ユーザ間で共有されます。また、アクセス ポイントは、すべてのユーザがあらゆるデバイスを介してどこからでもオープンに利用できます。ただし、この柔軟性ゆえに、セキュリティの問題が発生しやすくなります。
クラウド プロバイダは、クラウド サーバのコンピューティング能力を組み合わせることで、容量を分割することなく非常にスケーラブルなサービスを提供します。ハイパーバイザでコンピューティング リソースを最大化することで、応答性に優れたコンピューティング能力を活用してクライアントからのニーズの増大にも即座に対応します。
サーバが1台の場合のように機能が制限されることもないため、ニーズの増大に合わせてサーバを増設する必要もありません。システムがすでにプロビジョニングされていれば、クライアントはサーバの初期セットアップに伴うコストや遅延に悩まされることなく、サービスにアクセスできます。
多数のクラウド サーバを利用することで、ニーズが急増した場合でもパフォーマンスの問題やダウンタイムによってサービスが中断される可能性が低くなります。また、単一点障害(Single Point of Failure)も回避できます。1台のサーバがオフラインになっても、他の多数のサーバで冗長性が確保されているため、リソースを提供しているサービスは中断されません。たとえば、物理サーバが複数のデータセンター(あるいは複数の国や地域)に配置されていれば、大規模な障害によってデータセンターがオフラインになっても、システムの停止を回避することができます。
また別の例として、サーバ リソースをプールしておけば、オペレーティング システムへのパッチ適用などのメンテナンスが可能になります。このようなプロセスは、クラウド サービスを使用することで、サーバやネットワーク上でシステムを停止することなく実行できます。クラウド サーバのパフォーマンス、セキュリティ、安定性が最適化されているため、クライアントはメンテナンスに関する専門知識を習得する必要がなく、最終製品に集中して取り組むことができます。
クラウド サーバの柔軟な拡張性により、エンド ユーザがサービスに費やすコストを大幅に削減できます。お客様は使用した分の料金を支払うだけで、不要な容量を前払いする必要はありません。これにより、個々のサーバをオンラインにするためのセットアップ コストを回避できます。逆に、クラウド サーバをオンラインにするためのセットアップ コストは、クラウド プロバイダのオーバーヘッドとなります。このように、多くのクラウド サービスでは標準的なサービスを提供することで、お客様の労力とコストを最小限に抑えられます。
また、クラウド モデルによって、プロバイダは長期的なロックインを回避できます。個々のサーバをオンラインにするための長期的なオーバーヘッドを解消することで、お客様の投資回収率も向上します。お客様とプロバイダは、どちらもコストの問題に悩まされることなく、共に成果を達成できます。
インフラ サービス(IaaS)クラウド コンピューティングは、サーバ、ストレージ、ネットワークなどのコンピューティング リソースへのアクセスを提供します。組織は、サービス プロバイダのインフラ内で独自のプラットフォームやアプリケーションを使用できます。
IaaSの主な機能:
プラットフォーム サービス(PaaS)は、お客様がアプリケーションを開発、管理、提供できるクラウド環境です。構成済みのさまざまなツールを使用して、アプリケーションを開発、カスタマイズ、テストすることもできます。
PaaSの主な機能:
ソフトウェア サービス(SaaS)は、ベンダーのクラウドベース ソフトウェアへのアクセスを可能にします。お客様は、ローカル デバイスにアプリケーションをインストールして使用する代わりに、リモート クラウド上に存在するアプリケーションに、WebまたはAPIを介してネットワークベースでアクセスします。ユーザはこのアプリケーションからデータを保存して分析し、プロジェクトの共同作業を行うことができます。
SaaSの主な機能:
IaaSを利用すると、組織のITインフラをより細かく管理できます。IaaSモデルの特徴として、コスト構造の予測と管理が難しいという問題があります。一方、PaaSは、コスト構造の詳細な管理が可能です。PaaSは、今後IaaSに比べて発展していくと予想されていますが、一部の組織ではコストよりも管理が重視されると想定されます。
従量課金制とはいえ、IaaSの料金も問題になる可能性があります。クラウドの料金は、サービスの正確な使用状況を反映するように、非常にきめ細かく細分化されています。アプリケーションの導入に関連するすべてのリソースとサービスのコスト内訳は、すぐに増大する可能性があります。
インフラはIaaSクラウド サービス プロバイダが所有しているため、インフラの構成やパフォーマンスについてお客様が正確に把握することはほとんどありません。このような透明性の欠如により、システムの管理と監視がより複雑になる可能性もあります。
最後に、ワークロードの可用性とパフォーマンスは、クラウド サービス プロバイダに大きく依存します。IaaSプロバイダが内部または外部でネットワーク障害や何らかのダウンタイムを経験した場合、お客様はその影響を受けることになります。また、IaaSはマルチテナント アーキテクチャであるため、大量のリソースを必要とする「ノイジー ネイバー」がワークロードに悪影響を及ぼす可能性もあります。
最終的には、組織の特定のプロジェクトや将来の計画に最も適したサービスを選ぶことが重要になります。プロバイダのサービスを多様化し、データ管理の無駄を削減するクラウド サービス プロバイダ モデルは増え続けていますが、インフラ サービス(IaaS)はそのうちの1つにすぎません。