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NetAppが実現するポータビリティ、そしてプロジェクトAstraとは

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NetApp Japan
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ハイブリッドクラウドの需要が高まり、システムに求められる要件が変化しました。その変化を総括する言葉のひとつに「システムのモダナイゼーション(modernization)」という表現があります。

モダナイゼーションは直訳すると「近代化」。IT用語として使われる場合は、稼働中のハードウェアやソフトウェアによる資産を、最新の製品やソリューション、アーキテクチャに置き換えて活用することを意味しています。ITのモダナイゼーションを実現するためには、レガシーなシステムで稼働しているアプリケーションやデータのポータビリティ(移植性)が重要です。

ストレージとデータ管理のソリューションを提供するNetAppでは、ハイブリッドクラウド時代の変化を見据えて、システムやデータのポータビリティに取り組んできました。

ポータビリティの重要性を確認し、時代によってどのように変遷したかを時系列で追うとともに、NetAppが取り組んでいるプロジェクトAstraをご紹介します。

ポータビリティが重要な理由

企業のシステムをめぐる環境は、めまぐるしく変化しています。

ハードウェアの高速処理が可能になり、次々と先端技術に合わせた規格が定められます。OSはアップデートを繰り返し、レガシーなOSはEOS(End Of Support:サポート終了)を迎え、EOSに至った旧式のOSはセキュリティの問題などから利用を継続する際にリスクが生じます。人工知能(AI)の採用が急速に浸透し、リモートワークが増加することで仮想デスクトップの活用が求められるようになりました。

このような変化をDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ぶことがありますが、最先端の技術を取り入れた新たなサービスは企業の競争力を高めます。

一方で、既存のIT資産を有効活用することも求められています。ビジネスの急速な拡大はもちろん、経済や社会の変化によってリスクを回避するために、事業規模を縮小しなければならない局面があります。

このとき、ITコストを最適化することが必要です。培ってきたIT資産を最新のシステムに柔軟に拡大縮小できることが、環境の変化に強いシステムの必須条件です。このときクラウドを活用すると、システムとコストを柔軟に設計することができ、変化に対する優位性を得られます。さらにゼロトラストの考え方を基盤として、内部不正を見据えたセキュリティの強化にも役立ちます。

変化に対して柔軟であることが、企業の優位性と持続性を保つ上で重要になります。したがって、いま稼働しているシステムに大きな影響を与える変化があったとしても、損害を最小限に抑えて、予備として備えたシステムや新たな環境にスムーズに移行できれば問題ありません。

ポータビリティが重視されている理由には、このような背景があります。

システムのポータビリティ

仮想マシンの登場時からコンテナ仮想化の技術を経て、システムのポータビリティを実現する方法は変化してきました。その流れを解説します。

仮想マシン時代のシステムのポータビリティ
仮想マシン時代のシステムのポータビリティは、移動先と用途が限定されていました。BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とDR(Disaster Recovery:災害復旧)の目的が中心であり、災害時やシステム障害などに備えてバックアップを行ったり、データをリストアしたりするためのポータビリティです。

仕組みとしては、メインのデータセンターの仮想マシンのシステムとまったく同じ構成を別のデータセンターに構築して、メインのシステムがダウンした場合は別のデータセンターに切り替える方法です。つまりハイパーバイザを使って、1箇所のデータセンターに設置された仮想マシンのOSやアプリケーションのコードとコンフィグ、SQLなどデータベースのデータを、もう1箇所のデータセンターと連携します。

ただし、この方法では転送先の仮想マシンで構成を調整することが必要になり、クラウドに対しては、一方的にバックアップを作成するデータ移行に限定されます。さらに、データ転送が煩雑になること、転送に時間がかかること、データの転送方向に制限、転送できるアプリケーションやデータの制限があることなどの課題がありました。

コンテナのポータビリティ
そこで登場したのがコンテナ仮想化によるポータビリティです。

ハイパーバイザを使ったポータビリティでは、仮想マシンにも個別にOSをインストールして、データ移行の際にはOSを起動しなければなりません。コンテナ仮想化の場合は、コンテナエンジンを通じてカーネルを共有します。このことによりハイパーバイザを代用するため、仮想マシンとOSのインストールが不要になります。

コンテナは、コンテナイメージ(コード)、コンフィグレーション、ストレージで構成されています。管理オブジェクトとして軽量化されているので扱いやすく、ポータビリティに優れていることが特長です。Kubernetesにより、Instanceの構成と実行を行います。

レイヤー化されたコンテナイメージは、差分による管理が可能です。したがって転送するシステムやデータの軽量化を実現します。ビルドおよびレポジトリの内容は自動化され、レジストリからダウンロードして利用できます。コンフィグレーションおよびストレージの要求はKubernetesで管理します。

コンテナのシステムのポータビリティと課題
コンテナ仮想化では、Kubernetesのクラスタでポータビリティを実現しますが、いくつかの課題があります。たとえば、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドで利用する際に、データストレージや管理を一元化できないことです。SQLデータベースを利用しているクラスタがあった場合、データベースを利用していない他のクラスタでは利用できません。

また、Kubernetes上におけるアプリケーションやデータの管理の課題、効率的かつ信頼できるデータのトランスポート面で課題があります。

データのポータビリティ

コンテナ仮想化によるポータビリティは仮想マシンによるポータビリティの課題を解決する方法でしたが、アプリケーションやデータの移行では課題が残されていました。そこで、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドにおいて、データ管理のモダナイゼーションとシームレスなデータの連携を実現するために提供されたのが、NetApp DATA FABRICです。

アプリケーションのポータビリティを実現するためには、Kubernetes上の管理オブジェクトはもちろん、コンテナイメージ(コード)、コンフィグレーションのすべてのデータを移行できることが重要になります。

コンテナイメージ(コード)はレジストリからオンデマンドでダウンロード可能で、リリースごとに変更します。コンフィグレーションはデプロイ時に作成したKubernetes上のオブジェクトであり、変更はコードのリリース時と任意のタイミングで可能です。データは、アプリケーションで利用し、ストレージ上のオブジェクトとして常に変更されます。

このように変更のタイミングが異なる管理オブジェクトとデータを効率的に管理することが求められます。

プロジェクトAstraが実現するポータビリティとは

プロジェクトAstraは、NetAppが着手している次世代のデータ管理ソリューションです。

仮想マシンの時代からコンテナ仮想化のポータビリティを経て、これからのポータビリティを実現するために、プロジェクトAstraは生まれました。Kubernetes上のデータ管理のコントロールプレーンとしてデータファブリックを実現します。データストレージレイヤーで一貫した機能を提供し、効率的な管理が可能になります。

プロジェクトAstraでは、Kubernetes上で複数のオブジェクトから構成されるアプリケーションとデータを認識し、効率的な管理を実現します。Kubernetes管理オブジェクトとデータの保護、復旧、移動が可能です。

まとめ

刻々と変化するIT環境においては、先端技術でシステムを刷新する経営判断も必要です。しかし、これまで培ってきたアプリケーションやデータを活用して最新の技術に対応することによって、効率化と最適化をはかることができます。

アプリケーションの真のポータビリティを実現する、プロジェクトAstraの最新情報に注目しましょう。

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